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適当に

映画「グリーンブック」

アマゾンプライムで鑑賞。

 

感想

 

黒人のピアニスト(ドクター・シャーリー)が白人の主人公(トニー・リップ)よりも社会的地位が高く、教養の差があるという構図が今までに見た人種差別をテーマとした映画になく、珍しいと感じた。

 

個人的には人種差別というよりも友情がメインのテーマだと感じた。

人種が同じだとしても、生まれた環境や生い立ちが違うだけで理解しあえないこともある。そういった問題も含めた立場の違う人間の関係性や差別問題さえも取っ払ってしまうトニーの芯のある単純な考え方とドクターの自らは差別を受けつつも教養があり繊細な考え方のやりとりがどのように交わっていくのかというストーリーでよいコントラストとなり描かれていた。

 

黒人差別では黒人の暴力性などを白人が訴えるシーンをよくみかけるが、ドクターは差別行為に対してもじっと我慢し、言葉や知性で抵抗しなければいけないことを白人であるトニーに逆に訴えていたシーンが響いた。

 

ドクターが差別行為を受けるシーンでは、社会的に成功していたり、知名度に関わらず「黒人である」という理由で、差別行為を受けていた。
また、その状況では「差別行為」ではなく、「伝統的なしきたり」と表現されていたが、本当に当時の人々は「しきたり」として差別行為を行っていたのだろうか。
その境界線が曖昧にみえてしまう程、当然に行われていたことと、自分が理解できない感覚なのだと感じた。

 

また、終盤では黒人同士でも悪事を働こうとする2人組、差別行為を一切せずにタイヤのパンクを教えてくれて、手伝ってくれた警察官が登場し、人種に関わらずに善人や悪人がいるというシーンがあった。
映画内では別のフラグ回収としてのシーンとして使われていたが、上述の印象を与える為によく考えられたシーンだと感じた。

 

最後のシーンでは主人公の妻(ドロシー)が「手紙をありがとう」というシーンがある。
これはドロシーがドクターのことをトニーのために手伝ってくれた大切な人間として受け入れたということで、人間関係というのは当事者同士だけではなく、その周りにいる人間も大きな影響を与えていくのだろうと感じた。